はじめに
人は誰でも病気を経験します。 私も平凡な人間ですが、前立腺肥大という病気を通して、 体の不思議さ、医療のありがたさ、そして命の大切さを深く学びました。
この体験記は、 前立腺肥大の悪化 → 尿閉塞 → 入院 → 手術 → 回復 → その後の便秘・脱腸 という、私自身が経験したすべてを記録したものです。
同じ悩みを抱える方の参考になれば幸いです。
最初の異変
冬の寒波が到来した日、私は突然の悪寒と強い吐き気に襲われました。 風邪だと思い込んでいましたが、咳は出ず、症状は悪化するばかり。
2週間経っても治らず、胃カメラ検査でも異常なし。 しかし吐き気は増し、ついには血を吐くほどになりました。
この時点では、前立腺肥大との関連など考えもしませんでした。
泌尿器科で判明した「尿閉塞」と「水腎症」
泌尿器科での尿検査の結果、医師から衝撃の言葉。
「あなたは重症です。腎臓の数値が危険です」
腎臓の働きを示す数値は通常1.1。 私の数値は 2.7 でした。
さらに医師は私の膀胱をカテーテルで強制排尿。 すると──
1000ccの大ジョッキ3本分の尿が出てきたのです。
私は「普通に排尿しているつもり」でしたが、 実際はほとんど出ておらず、尿が腎臓に逆流していました。
これが吐き気・痛み・微熱の原因でした。
緊急入院
カテーテルは血の塊で詰まりやすく、夜中に漏れ出すこともありました。 医師からは、
「このままでは危険。入院してください」
と言われ、すぐに入院。
入院中は点滴が続き、腎臓の数値が徐々に改善。 しかし、前立腺が大きく肥大しているため、 自力排尿はできない状態でした。
CT検査と「癌の可能性」
エコー検査で膀胱にポリープが見つかり、 医師からは「癌の可能性もある」と告げられました。
眠れないほど不安でしたが、 CT検査の結果──
「腎臓はきれい。癌の所見なし」
という嬉しい結果に。
HoLEP(ホーレップ)手術を決断
前立腺は通常20cc。 私の前立腺は 87cc まで肥大していました。
医師からは、
「レーザー手術(HoLEP)が最も安全で確実です」
と説明され、手術を決断。
手術当日
手術室にはダビンチ(ロボット支援装置)があり、 複数の医師が待機。
麻酔が効くと、そこからの記憶はありません。
目覚めたのは夕方。 友人の声で意識が戻りました。
しかし、体は震えるほど寒く、 電気毛布で温めてもらいました。
手術後の回復
手術後もカテーテルは抜かれず、 赤い血尿が続きました。
医師からは、
「体がかき乱されたため、熱が出るのは自然な反応です」
と説明され、安心しました。
数日後、カテーテルが抜かれましたが──
尿が止まらず、雨漏りのようにピチピチと漏れ続ける状態に。
看護師からは、
「最初は誰でもそうなります。徐々に正常に戻ります」
と言われ、実際に数日で改善しました。
最初の病院でに起きた「便秘」と危険な症状
入院中は便秘が続き、退院後も頑固な便秘に。
ある日、強く踏ん張りすぎて、
頭がクラクラ、冷や汗、意識が薄れる
という危険な症状が出ました。
「このままでは脳溢血になるのでは」と本気で思いました。
数日後、ようやく便秘は解消。
下腹部のふくらみ──脱腸(鼠径ヘルニア)
退院後、左下腹部がこんもりと盛り上がっていることに気づきました。
押すとへこむが、また盛り上がる。 ネットで調べると「脱腸(鼠径ヘルニア)」の可能性。
前立腺手術の入院中、偶然同室の人が脱腸で入院しており、 外科医から詳しい説明を聞くことができました。
- 日本で最も多い外科手術
- 自然には治らない
- 放置すると「嵌頓(戻らなくなる)」になり救急車レベル
- 手術は比較的安全で回復も早い
脱腸手術
前立腺手術から2ヶ月後、脱腸手術を決断。
驚いたことに、外科医からは、
「2日後に手術できますよ」
と言われ、即決。
手術は下半身麻酔で行われ、 医師たちの会話が聞こえるほど意識ははっきり。
痛みはまったくなく、1時間ほどで終了。
翌日には退院できるほど回復が早く、 1週間後の診察でも順調でした。
手術跡が残らない現代医療の進歩
驚いたのは、手術跡がまったく残らないこと。
昔は糸で縫い、抜糸も必要でしたが、 今は皮膚用の接着剤で処置され、 跡が残らないことに感動しました。
体から学んだこと
の一連の経験から、私は次のことを深く学びました。
● 体は自分を生かそうとして働いている
熱を出すのも、尿を漏らすのも、
すべて「体が元に戻ろうとする働き」だと知りました。
● 便秘は危険
脳溢血の危険、痔、脱腸など、
便秘は軽く見てはいけないと痛感しました。
● 水分補給は重要
起床後のコップ一杯の水を習慣にしました。
● 加齢は万病のもと
しかし、建物が手入れで長持ちするように、
人間も努力次第で健康を保てると感じました。
おわりに
前立腺肥大、尿閉塞、水腎症、便秘、脱腸── 私は多くの病気を経験しましたが、 医師や看護師、家族、友人の支えによって乗り越えることができました。
この体験記が、 同じ悩みを抱える方の助けになれば幸いです。