カテーテルのトラブルと突然の入院──前立腺肥大がもたらした試練
突然の入院。
カテーテルが詰まり、夜中に尿が漏れ出すこともありました。
体は弱り、心も不安定になりながら、ただ治療に身を任せる日々。
それでも少しずつ腎臓の数値が改善していくのを感じ、希望が見えてきました。
入院を決断させた様々な出来事
私は思いもかけずに、排尿バッグを装着したままの、惨めで痛々しい姿で病院から帰宅しました。
排尿バッグを装着した状態とはいえ、今晩からは痛みや吐き気などからの苦しみから解放されてぐっすり眠れることを喜びました。
それが夜中の3時頃だろうか、下着が少し生温かいことに気づきました。
でもまさか……排尿バッグに尿が流れているはずだと思い、気にせずにそのまま再び眠りにつきました。
それから1時間ほど経ってのことだと思いますが、今度は、下着がぐっしょりと濡れていることに気づきました。
なぜ…、どうして…という大きな疑問を持ちながら急きょ下着を交換しました。
驚いたことに、尿が排尿バッグに流れているのではなく、管の外面を伝って漏れ出していたのです。
これでは普通の排尿と同じで、排尿バッグを装着している意味がない状態です。
緊急処置を受ける
朝になりました。
今日は土曜日なので、病院自体が休みです。
それでも事態が事態ですので、8時半を待って急きょ病院に電話をしました。
そして私の現状を伝えて、せめて主治医と連絡を取り、どのように対処したらよいかを聞いて欲しい旨を伝えました。
事務員さんから折り返しの電話がありました。
「先生からは、すぐにお出でください。今日は病院はお休みですので、緊急室に来てください、とのことです」、と告げられました。
今日は休院なので緊急担当の先生が扱われるのかなあ?
そうであれば、また主治医ではない別の医師に自分の惨めな姿を見られることになるなあと、少しの抵抗を感じつつ病院に急ぎました。
ところが驚いたことに、既に主治医の先生が待機しておられ、親切に対応してくださいました。
本当はゆっくり休んでたいところだろうに、と思いながら感謝を感じました。
先生が言うには、「きっと血が固まって(カテーテルの)根本を塞いでしまっていると思う。
そのようなことはあなたのような、前立腺が大きくなっている人にはよく起こることだ」、と説明されました。
そして挿入されていたカテーテルを取り外し、別の、もう少し太いカテーテルを新たに挿入しました。
それは太い分だけ、血の塊が出来ても詰まりにくくするためでした。
しかし、より太くなった分、挿入には大変な痛い思いをさせられました。
自然に力んでしまい、左足が軽いけいれんを起こしていることが分かったほどでした。
でも治療のお陰で排尿がスムーズになりました。
排尿バッグに順調に流れていました。
治療の終了後に先生が言いました。
「もしまた同じことが起きたなら、入院の準備をしてきてください。
真夜中でも気にせずに電話をください。いつでも応対しますから」、言われ、有難いと思いました。
また先生は、「この病気はおしっこが流れている限り死ぬことはないので安心してください」、と言われました。
私は思わずぎょっとさせられました。
「死」という言葉が出るほど、私の体は悪くなっていたことに気づかされたからです。
二度目の緊急処置が入院を決断させる
帰宅して安心していたところ、間もなく、またもや異変を感じました。
病院での治療後には、尿がスムーズに排尿バッグに流れ出ていました。
それなのに、帰宅してからは一滴も流れ出ていないのです。
おそらく同じことが起きていると思いました。
つまり最初のものより大きな血の塊ができたのでしょう。
それがカテーテルの根本、尿の流入口を塞ぎ、排尿バッグに流れないようにしているであろうことを予想しました。
私は愕然としました。
そしてこの問題を根本から解決するためには、入院が必要であることを実感しました。
すぐに先生の指示に従い、入院のための必要なものをネットで調べて、用意しました。
そして病院に電話をして、「先生の指示に従ってこれからそちらに行き、入院します」、と伝えました。
病院とは少しの電話のやり取りをして、結局、昼食を食べて間もなく、入院するべく病院に急ぎました。
入院して見せられたマジック
病院ではすでに主治医の先生が待っておられました。
でも急なためだったのでしょう、私のベッドがまだ用意されていませんでした。
それで30分ほど待った後に、準備された指定のベッドに落ち着くことができました。
ベッドでは、まず入院のための手続き書が渡されて、それに記入した後に、いよいよ主治医の先生の治療が始まりました。
先生は女性看護師を一人伴って現れました。
まず私のお腹の中のエコ-検査をしました。
そして「やはり血が固まっている」、と言われました。
それで挿入されていたカテーテルを取り外して血の塊も洗い流してきれいにしてくれました。
膀胱に溜まっていた尿も、きれいに排尿してくれたようです。
排尿されると、吐き気や気持ちの悪さがスーッと抜けていくのです。
この経験を通して実感したことがあります。
尿が排尿されずにお腹に溜まると、その溜まった量の分に応じて、どうやら現在の私には、吐き気や微熱などが起きることが分かったのです。
それから改めて、先生はきれいになったカテーテルを私に挿入しました。
挿入するときはいつでも痛みを感じます。
その後、先生は私の男性器やその周辺、腰の辺りを、水分をたっぷりと使用してきれいに洗ってくれました。
私はベッドに仰向けになったままであり、されるがままですが、ずいぶんと水をかけられたように感じました。
ですからベッドが水でずぶ濡れになったように感じ、そのことが心配でした。
それで、先生が帰った後に、後始末をしている看護師さんに言いました。
「ベッドがずぶ濡れになったので、替えてくれませんか」。
すると看護師さんが言いました。
「大丈夫ですよ」と言って、いつの間にかベッドと私の背中の間に敷かれていた薄いシ-トをさっと抜き取りました。
するとどうでしょう。
あんなにバシャバシャとずぶ濡れになっていたはずのベッドが、ほんの一滴も濡れてはいないのです。
目を丸くして驚きました。
信じられないほどで、まるでマジックを見ているようでした。
退院の際には、その不思議なシ-トを購入したほど感心させられました。
もっとも家では使用することはありませんでした。
先生の治療が終わるとすぐに、看護師さんたちによって点滴が始まりました。
血液が固まらないもの、体液とほぼ同じ成分のもの、ブドウ糖の入ったものなどの種類の点滴が途切れることなく、しばらく続きました。
前立腺肥大の危険を数値が教える
入院した日の夜に、看護師さんによって私の検診が行われました。
それによると、上の血圧が160で下の血圧が90でした。
この数値を聞いて私も思わず、「本当に!」、と驚きの声で聞き返したほどでした
極めて高い、危険な数値でした。
普段の私の血圧は、上が110位で下が60位です。
ですから、上の血圧がもう少し高ければ、脳溢血の危険もありそうに思えました。
体温も37.8度でした。
でもよくよく考えてみると、この数値は膀胱や腎臓に溜まっていた大量の尿を出し切って、さらに一日経っての数値です。
ですから、もしかしたらすべての尿を出し切る前の状態の時には、もっと血圧も高かったのではないかと想像しました。
少なくとも170、もしかしたら180だったかもしれない。
いずれにしろこの数値は前立腺肥大の危険性を教えてくれます。
腎臓だけではなく、血圧にも、そしてそれは全身にも悪影響を与えてくるのです。
入院2日目の朝に主治医が来られてさまざまな説明をされていきました。
入院するまでの私は、気がつかないうちに腎臓を悪化させていました。
水腎状態のために、食事をまずく感じたり、眠れない日々もありました。
ですから、もしかしたら腎臓の機能がかなり悪化している腎不全にでもなっており、その説明をされるのだろうかと少しの不安が頭をよぎりました。
先生の説明は確かに、前立腺肥大に伴って腎臓の機能がかなり悪くなっているということでした。
それでも腎不全という表現はありませんでしたので、そこまでは悪くなっていない、それよりは良いということだと思いました。
手遅れにならなくて良かったと思いました。
排尿バッグを装着したことで見た目は悪いですが、検査による様々な数値は、腎臓機能が改善されていることを示しているようです。
先生は、「私はカリウムの数値にも注目している。
カリウムの上限数値は5だが、あなたの数値は5.1で、わずかに上回っている。もう少し高かったなら、あなたは死んでいたよ」。
私は目を丸くして驚きました。
病院に来る数日前から、痛みや苦しみで眠れない夜を過ごしました。
もしかしたら死ぬんではないだろうかか、とも感じましたが、その感覚は決して間違いではなかったのです。
それにしても、カリウムとはブロッコリーなどの野菜に入っている、体内の不要な塩分を排出してくれる、とても良い栄養素のように思っていました。
そのカリウム値も高すぎると、こんなにも体に悪いことをするのかと教えられました。
なんでもほどほどが丁度良いようですね。
また先生は、「あたはもう少し治療が遅れていたなら、人工透析をしなければならなくなっていたよ」、とも言いました。
本当に恐ろしいと思いました。
もし人工透析治療を始めることになったなら、そこから抜け出すことはあり得ないように思えます。
それに大変な時間とお金が消費されるように感じます。
本当に間に合って良かったと思いました。
主治医の先生は命の恩人だと感じました。
まとめ
私の前立腺肥大が重症なのは、次のことにもよく表れていました。
- 二度もカテーテルが血の塊で塞がれてしまい、入院せざるを得ない状況だった。
- 先生によると、私のカリウムの異常に高い値は、急死に近づいていたこと
- もう少し治療が遅れていたなら、血液の透析治療が必要になっていたこと

