退院後に気づいた“左下腹部のふくらみ”──脱腸との出会い
退院後、左下腹部がこんもりと盛り上がっていることに気づきました。
押すとへこむが、また盛り上がる。
ネットで調べると「脱腸(鼠径ヘルニア)」の可能性。
また新しい問題が現れたことに驚きました。
押すとへこみが戻ってしまう
前立腺肥大で入院した最初の病院から退院して、便秘で苦しんでいた頃、ふと気がついた体の異変があります。
それはトイレで気がつきましが、左側下腹部が緩やかに、こんもりと盛り上がっているのです。
高さは1㎝ほどだろうと思います。
例えれば小さな山のような、丘のような盛り上がりで、何だろうと思いました。
痛くもなんともありません。
その部分を押すとへこんでなくなります。
でも押した指を離すと、また盛り上がります。
あまり気にはないようにしていましたが、それは消えることはありません。
寝るときは仰向けになりますが、そうすると盛り上がりが自然とへこんで消滅します。
でも、朝に起床すると、すぐに盛り上がってきます。
気にしないようにしていても、やはり気になるので、ネットで調べてみました。
結果は、どうやら脱腸のようです。
正式には鼠径 (そけい) ヘルニアというようです。
説明によると、何らかのことでお腹に力を入れると、腹壁の弱い部分から外に、腸などの臓器が出てくる、ということのようです。
外科医から聞いた脱腸の詳しい説明
この脱腸状態のまま、私は前立腺肥大の手術をしたのです。
その2番目の、手術をした病院に入院した時、同じ病室の人に偶然、脱腸で入院している人がいました。
ですから、その人の主治医である外科の先生が、よく病室を訪れていました。
その先生が病室を訪れて、脱腸の患者さんとの話も終わり、戻ろうとしたときに、私も脱腸であることを伝えて、気がかりな質問をしました。
それがきっかけで様々なことを教えてもらうことができました。
先生によると、「日本では様々な外科手術が行われていますが、一番行われている外科手術が脱腸です」、ということです。
ですから「もっともありふれた手術であり、年若い子供ですら脱腸になることもある」、と言われました。
「頑丈なスポ-ツ選手でも、思わずお腹に力を入れた瞬間に、脱腸になることもある」、ということです。
「脱腸は自然に治ることはなく、必ず手術をする必要がある」、とのことです。
「もしそのまま放置しておくなら、脱腸部分がだんだん大きくなり、垂れ下がってくることもある」ようです。
そして「いずれ嵌頓 (かんとん) という状態になる」ようです。
脱腸部分は、押したり仰向けになったりするとへこんで元に戻りますが、放置しているといずれ、戻らなくなる状態になるようです。その状態を嵌頓というそうです。
戻らなくなるのは、腸が出ている腹壁の部分から締め付けられてしまうからのようです。
その締め付けのためと思われますが、その時は非常に痛く、救急車を呼ばなければならないほどの激しい痛みのようです。
そしてその恐ろしい嵌頓は、「いつ起きるかは誰にも分からない」そうです。
ですから、「急ぐ必要はないが、いずれ手術をしたほうが良い」、と言われました。
同室の男性脱腸患者の方は、私が入院している間に手術をし、手術後も4日ほど入院をされて、痛み止めの頓服薬を服用し、退院していかれました。
これを見ていて、私もこのような経過をたどるのかな、と思いつつ観察していました。
外科の親切な先生は、この患者さんの所に来るときは、だいたい私にも声を掛けてくださり、その気遣いには感謝をしております。
最初の病院で脱腸を手術
私はこれらのアドバイスを思いに留めながら、前立腺肥大の手術を終えて帰宅しました。
そしておよそ2か月ほど後の、家族の状況も安定していてふさわしいと思われるときに、脱腸手術を決断しました。
そのために、前立腺肥大で最初に入院してお世話になった病院の、今度は外科に行きました。
目的ははっきりしているので、受付の方に、「外科の先生に脱腸手術をしてほしくて来ました」、と率直に伝えました。
外科の先生に会ってみると、親切で気さくな方でした。
どんな人であれ、人間、親切で誰に対しても気さくであることは、とても大事なことだと思います。
外科の先生は私に幾らかの質問をしながら、私の脱腸状態を視認し、触診しました。
私の場合は緩やかな盛り上がりですが、先生によると、人によってはピンポン玉のような、ぷくっとした盛り上がりになる人もいるとのことでした。
そして、「2日後には手術が空いているので、良かったらしましょうか?」、と言われ、驚きの快諾をしました。
私はてっきり、前立腺肥大の手術のように、1か月くらい後にでもなるのかな、と考えていました。
間違ってもこんなに早く手術ができるとは、大変な驚きと喜びでした。
下半身麻酔で行われた手術
手術は午後2時頃からと言われ、指示通り、朝から食事抜きで過ごしながら、指定の午前10時頃に病院に到着しました。
病室は3階でした。
手術をサポートされる若い男性医師による、事前の説明が行われました。
そして、同室者たちの楽しい昼食を横目で見ながら、手術の時間を待ちました。
その時間となり、看護師さんの案内で手術室に向かいました。
手術室には外科の先生と、サポ-トをされる若い男性医師2人の計3人が私を待っていました。
まず最初に、私の背中を丸くさせて背骨の骨に隙間を作らせ、その隙間から麻酔を注射しました。
前立腺肥大の時は全身麻酔でしたが、今回の脱腸手術は下半身麻酔のようです。
全身麻酔とは違って、頭のほうははっきりしています。
麻酔を打たれた下半身には、ピリピリとたしびれを感じ続けていました。
私が小学生の時にした盲腸の手術の時にも、背中を丸くさせられて、背骨から麻酔を打たれましたが、ものすごく痛かったことを覚えています。
でも、今回は普通の注射と同じほどで、チクリとさせられただけでした。
ここにも医学の進歩を感じさせられました。
麻酔が効き始めて手術の段階に入ったときには、まず先生方3人で今日の日付や私の名前、手術名などを大きな声で復唱し合っていました。
多分、誤認手術を避けるための手順なのでしょう。
そしていよいよ手術です。
ベッドに仰向けさせられた私の胸の下あたりにカーテンのようなものがあり、手術そのものは見えないようになっています。
それでも半身麻酔なので私の頭は冴えており、先生方の会話は聞こえてきます。
カミソリなのでしょうか、そのようなもので私の左下腹部を切り開いているようなかすかな音がきこえます。
また下腹部にも、切り裂かれているようなかすかな感覚を感じます。
痛みがまったくない不思議な感覚
それでももちろん、痛みはほんの少しもありません。
切り裂かれても痛くはないという、本当に不思議な感覚でした。
最近、テレビ番組で聞きましたが、この麻酔の歴史は長いのに、いまだに、なぜ痛みがなくなるのか、その詳しいメカニズムは不明ということでした。
それもまた、不思議に輪を掛けてしまいます。
メカニズムの不明なこの麻酔を人間が安全に使用し続けているとは、何と言えばよいのでしょうか。
人によっては、麻酔が切れてくると痛みが出てくるということも聞きます。
しかし私の場合は、前立腺肥大の手術も、今回の脱腸の手術のどちらも、麻酔が切れてからも、まったくかすかな痛みすら感じることはありませんでした。
先生方は3人で雑談をしながら手術をしています。
さすがに日本で一番多い手術なのでしょう、余裕があり、手慣れていると思いました。
はっきりとは聞き取れませんが、昨晩のテレビか何かで聞いた最近の音楽の話しをしているようです。
仮に聞き取れたとしても、私の関心事ではないので、話にはついてはいけません。
手術時間は1時間前後だったと思います。
手術室に来るときは看護師さんに案内されて、自分で歩いて来ましたが、帰りは手術用ベッドに乗せられたまま、送り届けられました。
そしてそのベッドがそのまま私のベッドとなり、手術前まで使用していたベッドと入れ替えとなり、交換されたような気がします。
病院によって対処方法に違いがあることを見せられる
前立腺肥大の手術をした病院にも、同じ病室に脱腸の患者がいました。
その人の手術後の様子は、手術用ベッドに乗せられて病室に戻り、5、6人のスタッフで患者さんを抱え上げて、ベッドに戻していました。
こちらの病院では、ベッドそのものを交換していましたから、病院によってのやり方は様々なようです。
翌日の朝食後には、看護師さんから、「もう退院しても大丈夫ですよ」、と言われ、これにも驚かされました。
前の病院では、同じ脱腸の手術をされた方は、手術後も4日ほど入院した後に退院していましたので、私もてっきりそれくらいの入院を覚悟していました。
それが、手術の翌日には退院ができるとは、まったくの想定外でした。
病院によって大分違うことを実感させられました。
もっとも、私の希望でその日も入院したままで、その翌日、つまり手術の2日後に退院しました。
それは、確かに前の病院の脱腸患者の扱いを見てきた影響が確かにありました。
実際、手術をしたとはいえ、まだその部分は完全には接着しておらず、柔らかいからです。
何かが起きても病院にいれば安心です。
何事も起きずに退院して、1週間後に外来で外科の先生に手術後の患部の様子を見てもらいました。
先生は簡単に一瞥する程度でしたが、回復が順調であることを確認して、すべてを終了しました。
退院後も生活を慎重に
私は小学生の時に盲腸の手術をしました。その手術の痕跡は今でもはっきりと残っています。
右側下腹部ですが、切開の跡やそこを縫った時の抜糸跡まではっきりと残っています。
それが、今回の手術では、手術跡がまったく残っておらず、どこを切開したのかも分かりません。
以前は、切開部分を糸で縫っていましたが、今はどうやら皮膚用、肉体用の接着剤を使用しているようです。
しかもそれが自然に剥がれたり、肉体に吸収されたりするようで、以前の抜糸の段階は不要なようです。
医学の進歩には驚かされるばかりです。
とはいえ、油断禁物です。
ネットで見つけましたが、ある男性が脱腸の手術をして、順調に回復をしていきました。
3か月ほど経ち、もう大丈夫と思い、趣味の自転車を久しぶりに楽しんだようです。
多分、思いっきりペダルを漕ぐこともあったのでしょう、当然、手術をした下腹部に力が入ったことと思います。
そしてどうやら再び脱腸になったということでした。
切開された部分が本当に硬くなるまでには半年ほど掛かる、ということをネットで調べました。
それで先程の経験も参考にしながら、半年間はお腹に力の入ることを注意して避けました。
ここの病院では、命の恩人と考えている泌尿器科の先生と、脱腸の手術をされた外科の先生のお世話になりました。
それで、ここの病院にも後で感謝の手紙を書くことができました。
感謝の限りです。
まとめ
私の場合の脱腸(鼠径ヘルニア)の特長です。
- 便秘が原因でした。下腹部に力を入れた時になりやすいようです。
- 少しの盛り上がりがあり、押すとへこみます。
- 放置し続けると、嵌頓という、へこまなくなる状態になり、非常に危険になります。
- 自然には治らないので、良い時機を見て手術をする必要があります。
- 手術は下半身麻酔で行われます。
- 病院によっては、翌日には退院ができます。
- 退院しても切開部分は柔らかく、本当に固くなるのはまだしばらく時間が掛かるので、下腹部に力を入れないように注意が必要です。

